ウィンです!
ミャンマー人の私たちが必要としていることは、陽月堂のコンセプトにもある「日本流の商い」にヒントがあると思っております。
私達の祖父は、戦時中に日本人と共に過ごした経験があり、私は幼い頃からずっと日本の精神や日本人の教育について、聞かされて育ちました。いくら祖父から毎日のように日本の精神や教育と言われていても、それが分かるわけもなく、まさかこうして日本に来て仕事をすることになるとは思ってもいませんでした。
学生の頃は、近代日本の経済社会を築いてきた創業者の方々の経営哲学に大いに刺激され、日本流の商いには学ぶべきところが多々あります。しかし、それが何なのか、説明もできませんし、自分の言葉になりません。つまりは、自分が汗を流して人と関わる経験の積み重ねの中でしか身についていかないものなのだろうなと理解しているところです。
COCOWIN事業の始まり
そこからの課題は、大量生産されるメーカー品が安価に流通している日本で、ミャンマーの農村支援事業で手作り生産されたココナツオイルをどう皆様に知って頂くのか…、そして、いかに村の産業と安定雇用につなげていけるのか…ということでした。そこで、ココナツオイルを原材料として活かせる加工品を考え、パン作りが候補にあがり、石窯を自分達でつくることから始めました。
(←カンボジアで作ったパン窯第一号…ひどいものです…^^;)

自分が楽しみながら心を込めてパンを作ることで、多くの皆様が喜んでくだり応援までして頂いております。本当に有り難く素晴らしい経験をさせて頂いていると思います。様々な課題にも直面し、お叱りを受ける事もあり、まだまだこの事業もこれからです。

しかし、ミャンマーでは全く知られていおらず、村で生産を始めるのにも大変苦労しました。
材料確保や設備を整備することはもちろんですが、村の皆さんが、「こんな村で自分達が手作りするようなものが日本のような国で通用するわけがない、恥ずかしいことはしたくない」、と、かなりの抵抗にもあいました。
それだけに、真剣に学んでくれて、全ての工程において丁寧に慎重にやり続けてくれていることは本当に誇りに思うほどです。
しかし、ほんの1年ほどの間にココナツの実があちらこちらで海外企業に根こそぎ買収されるようになり、身近にタダ同然ぐらいの価格だったココナツが、とんでもない値段で取引されるようになりました。
弊社のような小規模製造に前と同じ価格で売ってくれる村もなくなり、手に入れることさえ困難な状況に陥りました。小規模とはいえ、1Lのオイルの製造には20~25個のココナツが必要な手作り製造のため、自分達の村だけで賄える量ではないのです。
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ミャンマー/ココナツオイル |
ミャンマーでも、買い占められたと思ったら、契約を打ち切られ、売れ残るココナツを買ってくれと頼んでくる村もでてきています。しかし、足元を見られ、裏切られ、都合よくまた売りに来る、そういう中でこじれた関係は修復できず、村社会の中で首を絞め合うような状況を生んでしまうのです。
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パン作り体験会 |
多くの天然資源を使い、手作りする素晴らしい特性をもった植物油を一時的な流行で終わらせるのはもったいないことです。また、こうしたブームに途上国の村が振り回されるだけでもだめだと思っています。引き続き、ココナツオイルのみならず、ミャンマーの天然資源を活かした原材料を開発し、日本で商品研究・開発を行いつつ、品質管理や日本流のサービスを研究し、それらを活かした人材育成を実施していきたいと考えています。
人が心豊かに経済発展をしていくにはどうするべきか、「日本流の商い」をしっかり身につけ、ミャンマーの村おこし産業につなげ、日本とミャンマーに恩返しできるよう、地道に歩んでまいります。
COCOWINパン
ショートニングやマーガリン、バターは使用せず、全てのパンに、ミャンマーの村で伝統製法を研究し、自社開発した自然発酵製法のバージンココナツオイルをたっぷり使用しています。